「東京裁判史観」の売り込みコンセプトは「侵略」

 読者の声1)貴誌382号(読者の声5)MARU氏の帝国主義の提言から「もし日本が侵略なら米ソ英国支那みな侵略国家です。日本の戦争は自衛戦争でした。「侵略」は左翼の反日宣伝用語に過ぎません。]と書かれました。

 戦時国際法の権威、佐藤和男・青山学院大学名誉教授の講演会できき、またご著書でも読ませていただきましたが、侵略という言葉の国際上の意味は以下のとおりです。

 1.国際法の用語に侵略という言葉はない。
 2.侵略に対応する英語の用語はない。
 3.日本語の侵略と意味の近い国際法の用語には、以下の2つがあるが、全く同じ   意味ではないので、紛らわしい。
  (1)侵出(英語では、invasion)
  :境界を越えて進入すること。武力行使のあるなしにはかかわらない。
  (2)侵攻(英語ではaggression)
  :相手側からの挑発行為なしに、武力行使をともない境界を越えて進入すること。
 4.中国語の「略」には、略奪という意味がある。したがって、中国人が侵略と    聞くと、侵入しかつ略奪したという意味にとる。

以上を勘案すると、以下のことが言えます。

1.日本軍は中国で侵出は行ったが、侵略は行っていない。南京占領の時も、住民が逃げて空き家になっていた家から食料品を調達する場合は、何をどれだけ持って行ったかということと、あとで持参したら、市場価値の代価を支払う旨を書いた紙を家に張っておいた。
 住民が、食物を置いて逃げたのも日本軍のこの方針を知っていたからなのでしょう。そうでなければ、毒の入った食物をおいていったはずです。
 また国民党軍をはじめ中国の各軍閥は、各地で侵略を行いました。

2.中国は、チベット東トルキスタンを侵略した。

3.ドイツ占領下のノルマンディーに連合軍が攻め込んだのは、侵出「invasio   n」である。なぜなら、境界(ドイツ軍の防衛線)を越えて侵入したから。

4.ノモンハンソ連軍は満州国領に侵攻したが、満州国軍及び日本軍は、侵  攻したソ連軍を追い、モンゴル領に侵出した。しかし侵攻も侵略も行なって   いない。

























なるべく「侵略」などという不明確かつ詐欺師の道具に使われやすい用語は使わないことです。
    
(ST生、神奈川)


宮崎正弘のコメント)語感の呪縛。語彙の選択も宣伝戦争の大きな武器であり、洗脳の武器でもあります。「平和」も意味不明です。あれは『和平』という語彙に変えるべきだと思っています。
意見:20世紀の共産主義では言語の意味を変える言語操作が行われ、人間の正しい思考を非常に妨害してきました。
 存在しない概念(例:人民)、偏向した用語(例:侵略、平和など)、価値観の二重基準(他国はOK、日本だけNO)、論理の倒錯(例:日本の自衛は悪い)などなど。さらにオーウェルの「動物農場」では、平等が差別の意味に使われるなど、人間の頭の中に手を突っ込む工作が警告されています。
 これは狂信集団(カルト)の信者を騙す定法であり、混迷の時代を迎えた日本では今後価値観、用語、論理の明澄化は非常に重大です。具体的には今回のようにその都度、言あげし表現の不正を指摘し周知する必要があります。   (MARU)

宮崎正弘のコメント)以前はよく、福田恒存さんが展開されていた論法ですが、しかし、保守のメディアも、ほかのことで忙しい。さらに『文藝春秋』『週刊文春』の左傾化には目を覆いたくなりますね。半藤、保坂、立花といった「文春三馬鹿」は。

続報
(読者の声1)貴誌2384号。記事を書いたNYタイムズの記者に、なぜ、日本が含まれていないのか、問い質す必要はないのでしょうか。単純な記載ミスでなければ、明確な意図があるはずです。それを聞き出して誤解があれば説得できるでしょうし、そうでなければ今後の日本のあり方に関して重要な示唆をいただけると思いますが。
 また語彙と宣伝に関して「侵出」は、ノルマンディーは「侵入」とすべきでしょう。一般的に言って「侵出」より「侵入」の方が、分かりやすいと思います。侵出なら「進出」の方がイメージが湧きやすいですし。
侵略の「略」が、中国人に「略奪」を印象させるなら、「侵略」は「侵攻」に改めるべきでしょう。たとえば南京アトロシティなるものは、南京侵攻事件として、以前、小生は論文を書いたことがあります。
その点で私の表現はご指摘された内容とも一致していると思いました。                                     (W生、武蔵野)

宮崎正弘のコメント)NYタイムズの記者はリベラル派ならびに反日派がはびこっていて、先入観で日本を見ています。とくに東京支局のノリミツ・オオニシ記者は札付きの左翼記者で、反日に凝り固まった人物。なぜ外務省はこの男をペルソン・ノングラータとして国外退去を命じられないのか、不思議です。
意見・続報の出典:http://www.melma.com/backnumber_45206_4288878/

続続報
1.国際法の分野での法律用語として、「invasion」に対応する語が「侵出」です。日常語として違和感があってもいたし方がありません。法律上の「善意」、「悪意」は日常語とは全く違います。
また、「位相」(phase)という語が物理学と数学では全く違う意味(topology)に使われています。以前ある著名な物理学者が物理学の方が先に位相という言葉を使い始めた。数学者は別の言葉を使えと書いたのを読みましたが、既に時遅しです。

2.「進出」には境界線を越えるという意味が明確にはありません。この点が、「invasion」という概念の根本的に重要な点です。また、「侵入」は、侵入される側から観ての表現です。侵出する側のみならず、外から観ている第三者からも、「侵出」の方が的確に状況を表しています。

3.日本軍の南京占領は「侵攻」ではありません。北京の蘆溝橋において日本軍に国民党軍を擬して発砲したのは中国共産党員であり、その後、停戦の機会がありながら、敢えて戦争を長引かせたのは、長引けば勝てると観た国民党軍幹部および発行部数増加を目的として好戦記事で国民をあおった日本の新聞紙各紙でありました。
 また停戦を求めず、南京城攻防戦に持ち込んだのは、上海での抵抗戦で善戦したことに自信を得た国民党軍が挑発誘導したものであり、日本軍が侵攻(挑発されないのに武力を持って侵出)したのではありません。停戦の機会をつかむためやむなく侵出したのでした。
 日本軍は南京城に侵出しました。これは、明確な事実であり、絶対に譲歩して別の解釈をしてはなりません。
 昭和2年の第一次南京事件で国民党軍は、南京市内の外国人居住地帯に侵攻し侵略しました。これも明確な事実です。
 なお国際法上の用語の詳細は佐藤和男先生やその他のその分野の専門家の著書にあたってください。私は大学理学部で代数的整数論を専攻した法律音痴です。              (ST生、神奈川)

入力者メモ
中国共産党は、日本軍についてのみ「侵略」を用い、ソ連軍や国民党軍については、侵入・進出などの言葉で使い分けている。中国共産党の用いる「侵略」の表現は、政治宣伝用語である。
満州について、国際連盟では、日本の「侵略」と認定されていない

東京裁判史観の仕組み
次の手順を踏む
1 日本は侵略した。
2 侵略は悪である。
3 ゆえに、日本は悪の国である。

 こうしておいて、ゆすり・たかりにかかる。

 だから、あいまいな「侵略」から認めないと、テキはうろたえる。