一党独裁の果て‥‥食品汚染大国

産経新聞 2007年10月14日 記事http://www.tokyovalley.com/yahoo_blog/article/article.php

一党独裁の果て‥‥食品汚染大国

中国 現状をリポート・周ケイさん語る

無法状態ともいえる中国の食品汚染をリポートした『中国の危ない食品』(草思社)が出版された。農薬はいうに及ばず、食品の見栄えをよくしたり、成長を促進したりするために有毒物質が平然と使用されている実態が、これでもかと報告されている。来日した著者の周ケイさんに、食品汚染を生み出す背景について聞いた。
 周さんは、一党独裁が招いた「透支社会」が、食品汚染の温床となっていると指摘する。「透支」というのは、一党独裁の統治下で、人々が右左、善悪、正邪の判断を党に握られ、人間としての個(根)を失ってしまった常態を指す周さんの造語である。
 「トウ小平時代に《先に金持ちになった者が勝ち》と号令がかかり、国民はこぞって拝金主義となりました。金もうけのためなら、他人の迷惑などおかまいなし、資源を堀り尽くししても、環境を破壊しても、何とも思わないようになったのです。」
 問題なのは、現在の深刻な状況を、中央政府がきちんと把握できていないことだと、周さんはいう。
 「一党独裁のもとでは、村長は郷長をだまし都合の良い報告だけをし、郷長は県長をだまし都合の良い報告だけをする、という連鎖があるからです。さらに、役人と業者・企業が結託した既得権益集団が形成されているのです。」
 そしてもうひとつ、メディアの統制がある。記憶に新しい段ボール肉まん事件は記者の捏造だったということで幕引きされた。
 「私はあの報道は事実だと思っています。逮捕された記者は、以前にも偽羊肉事件をスクープしたことのある立派な人物ですよ。あれが事実と認定されれば、大きな社会不安となり、北京市政府や党委員会の人事にも重大な影響を与えることになりますからね。政府はこの事件を奇貨としてメディアの統制強化に踏み切りました。」
 周さんによれば、政府は十年ぶりに、メディア従事者に対して共産主義に基づく記者教育を受けることを義務づけ、報道にもさまざまな足かせをはめているという。
 「もし食品の汚染対策に政府が本気になったとしても、管理できるのは輸出用食品や北京五輪の食事ぐらい。国内に出回る食品の汚染を解決するのは難しい。中国人自身が市民社会を構築する以外に根本的な解決の道はないと思います。」
(桑原 聡)

スジロンさんが、↓に中国人の「公共意識のなさ」の由来を考察されています。「中国人自身が市民社会を構築」するのは、一朝一夕にはできないことでしょうね。