毒餃子騒動 (6)「犯人は中国側だわな」と中国でも報道

この件についてはしばらく「日々是チナヲチ」の出店を続けます。
 以下に、その(6)を紹介いたします。

 コメントある方は、直接、御家人さんにどうぞ。
よたコメントは、ここでもいいですよ。
あ‥、「よた」でなくても、いいです。

転載もと:http://blog.goo.ne.jp/gokenin168
毒餃子】中国国内でも出ました「怪しいのは中国」報道。
                 中国毒餃子 / 2008-02-12 05:05:08

 えーと、ちょっと展開が速過ぎるのではないかと(笑)。

 準備体操もそこそこにプールに飛び込んでしまったようです。
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 中国毒餃子問題について、中国国内からもアクセスできる海外の親中系メディアのウェブサイトに一斉、といっていいタイミングで共同通信の中国語版の記事を引用した報道が登場しました。

 海外親中系メディアの報道は最低でも、

 ●中国の警察当局はこの三日間に包装や箱詰め作業をしていた従業員を重点的に聴取するなどし、捜査を進めているもようだ。
 ●中国警察は、これまでの捜査で「何者かによる意図的な混入」との見方を強め、工場への人の出入りを記録した出勤記録簿などを押収した。

 ……の2点には言及。どの記事も餃子を生産していた天洋食品を訪れた日本側調査団が「特に問題はなかった」と語ったと報じつつも、その一方で、

「公安が動いている。どうやら中国側が怪しい模様」

 といった印象や読後感を残す内容です。

「これは一種の予告編というか、準備体操のようなものでしょうか」

 と冒頭に書きましたが、いままでのケースからすると、中国は往々にしてこうした中国国内からもアクセスできる海外の親中系メディアのウェブサイトでまず情報を流した上で、ややタイムラグを置いてから中国国内メディアに報道させることが多いからです。

 これら海外の親中系メディア、これまでは基本的に中国国内で報道されている記事を掲載するのみだったことから、今回の「一斉報道」は中国側が何らかの動きを準備している可能性を感じさせるものです。

 ●【毒餃子】手打ち間近か?親中メディア「中国怪しい」へ足並み揃える。(2008/02/10)
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 などと当ブログにて書いたのが2月10日の23時。……ところが翌11日朝からより入念な「中国怪しい」報道が早くも中国国内に出現したのです。

 タイムラグなんて24時間もありゃしません。前回の香港紙『明報』による「習近平が中央軍事委副主席に就任へ」のエントリーを書いているときには、もう中国国内で「毒餃子、怪しいのは中国」報道が広がりつつありました。

 ずずーっとお茶をすするヒマもなかった、という感じです。権力に屈しない社会派なスタンスで人気の『南方都市報』(広東省)を発信源に、

「日本向け『毒餃子』事件に突破口、問題製品は祝日・休日に生産、中国警察当局は袋詰め・箱詰め関係者を追及」

 という長ったらしいタイトルの記事が大手ポータルなどにどんどん転載されていきました。それにしても正に「怪しいのは中国側」というか「捜査対象は天洋食品に絞られた」といった印象を与える半ば断定調の大見出しです。

 オフィシャル系の新華社中国新聞社は記事を配信していないようですが、大手ポータルなどネット上に出た記事が削除されていないのですから、ゴーサインが出ているのでしょう。党中央機関紙『人民日報』の系列紙『環球時報』も独自報道を行っています。

 ●『南方都市報』(2008/02/11)
 http://epaper.nddaily.com/A/html/2008-02/11/content_385309.htm

 ●「新浪網」(2008/02/11/03:03)
 http://news.sina.com.cn/c/2008-02-11/030314922674.shtml

 ●「捜狐」(2008/02/11/06:31)
 http://news.sohu.com/20080211/n255117691.shtml

 ●「中国経済網」(2008/02/11/08:55)
 http://www.ce.cn/cysc/sp/info/200802/11/t20080211_14495670.shtml

 ●「網易」(2008/02/11/10:08)
 http://news.163.com/08/0211/10/44DOD4UO0001124J.html
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 それにしても、急いでますねえ。

 まずは、胡錦涛訪日前に騒動を収拾したいという思惑があるのでしょう。それから近く開催と噂される党の重要会議「二中全会」(第17期中央委員会第二次全体会議)との兼ね合いもあるでしょうし、何よりも北京五輪を控えて欧米諸国への風評被害を懸念したのでしょう。

 いや北京五輪以前に食品輸出に大きな影響が出ることを案じたのかも。……ひょっとすると日本側から飛び出したこの記事、

 ●「中国食品利用せず」75% 電話世論調査共同通信 2008/02/10/19:20)

 これで日本国民が予想以上に怒髪衝天であることに驚き、中国当局の尻に火がついたのかも知れません。実は今回のニュースが『南方都市報』発、という点もなかなか興味深いように思えるのですが、それは今回の主題から逸れるので割愛。
 ともあれ上の「捜狐」とか「網易」の付属掲示板に飛んでみればわかりますが、ネット世論がこのニュースを受けて激しく狂おしく動揺しております(笑)。「中国食品利用せず:75%」報道も流れているので、

「それならこっちも日貨排斥だ!」
「支持!」
「支持!」
「支持!」

 ……といったイタい様相を呈しております。今回の『南方都市報』発記事の元ネタはやはり2月8日の共同電。だから言ったじゃないですか>>中国網民ども。いずれこうなると思って私は「知る権利」を侵害されている中国人民のために中国語記事をタイムリーにペタペタあちこちに貼り付けて心の準備を促してやったのに、

「毒を入れたのは絶対に小日本」
「柳条湖や盧溝橋と同じやり口。いかにも日本鬼子のやりそうなことだ」

 みたいな「根拠のない揺るぎなき確信」を抱いていたがために、今日の狂態を招くことになったのです。……ああ昨日ですか。
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「より入念な『中国怪しい』報道」

 というのは、まずタイトルからして海外の親中系メディアの報道より踏み込んでいるうえ、元記事である共同電の肝心の部分を余すところなく収録しているために、中国人が読んでも、

「ああこりゃ犯人は中国側だわな」

 という感想を素直に抱く内容となっているからです。上記ネット世論はこの現実を受け入れられずに火病を生じている、といったところでしょう。むろん、真犯人に関する結論は未だ出てはいないのですが、こういう記事が中国国内に出るということは、当局が国民に「心の準備」を促しているということですから。

 面白いことに、日本側調査団が天洋食品を訪れた際に中国側代表である質検総局の副局長が「中国側には一切問題は発見されなかった」と胸を張りつつ意図的な毒物混入という見方を示唆し、

「恐らく中日友好関係の進展を望まない少数分子によるものだろう」

 と、犯人があたかも日本側だと決めつけんばかりの発言をかましたために下僚が慌てて、

「いや、破壊活動を行った犯人は日本側かも知れないし、中国側かも知れない、という意味」

 とフォローに走ったというお粗末な一幕がありましたが(日本マスコミの報道の多くもお粗末でしたね)、今回の中国国内における報道ではこの、

「犯人は日本側かも知れないし、中国側かも知れない」

 という一節が中国国民向けのフォローとして使われています。日本向けのフォローだったのがいまでは中国国内向けに転じていることから、事態の風向きが当時と一変しているのがよくわかります。
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 最後に『環球時報』の独自報道にも触れておきましょう。基本的に電波系反日記事の多い同紙ですから『南方都市報』のように大きく踏み込んではいません。それでも、

 ●中国の警察当局はこの三日間に包装や箱詰め作業をしていた従業員を重点的に聴取するなどし、捜査を進めているもようだ。
 ●中国警察は、これまでの捜査で「何者かによる意図的な混入」との見方を強め、工場への人の出入りを記録した出勤記録簿などを押収した。

 という2点はしっかり押さえられています。とりあえず最低限の仕事はしているということですね。しかしこれだけでは収まらないのか一方で日本における中国食品の風評被害について強い懸念を示しているのですが、同時にまた「中国食品利用せず:75%」という調査結果も織り込んでいるという自律神経失調症的な実に落ち着きのない内容になっています。

 ああさすがに「腐っても豚」だ、と私が思ったのは同紙がこの「中国食品利用せず:75%」を記事のタイトルに掲げるに際し、

「日本メディアの世論調査:日本人の4分の1はそれでも中国食品を支持している」

 と悔しさのにじみ出た標題にしたことです。というより、もんのすごーいパワープレー(笑)。

 ●「環球網」(2008/02/11/10:52)
 http://www.huanqiu.com/first/2008-02/58932.html

 まあ『環球時報』は悔しいことでしょう。

「日本の庶民は中国食品を手放せない」

 という長々とした記事を出した矢先にこれですから(笑)。「4分の1は……」というヘソ曲がりなタイトルにも同情してやりたくなります。

 ●「環球網」(2008/02/09/10:04)
 http://www.huanqiu.com/www/115/2008-02/58576.html

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 それにしても今回の毒餃子事件、中国国内でもかような報道が流れたことで日中間の手打ち気配がいよいよ濃厚となりました。なりましたけど、どういう形になるのでしょう。

 中国側がここまで「自虐的」な姿勢で実質的に天洋食品にまで絞り込んでしまっているので、やはり現場の工員さんを何人か取っ捕まえて「例外的事件」と喧伝してシャンシャン。……てなところでしょうか。「例外的事件」にしても危機管理体制が問われることにはなるのですけど。

「日本の輸入業者の天洋食品に対する管理が甘かったことにも問題がある」

 みたいな「プチ逆ギレ」がオマケにつくのかなあ、と考えたりしているところです。……て、今回の事件について本当に真面目に考えなければならないことは別に色々あるのですけど。

 前にも書いたかも知れませんが、とりあえず拙宅は極力チャイナフリーという方針で固まっています。小市民なりに危険な食品を生産する中国とそれをのさばらせた関連業界に鉄槌を下すのです。そして安直な生活に流れていた私も配偶者と一緒に天罰を受けると。

 まあ、毎日何時間もメイド・イン・チャイナの電波浴をしているのですから、せめて食べるもの着るものくらいは出来るだけこだわるつももりです。
詳しくは、転載もとへどうぞ。
http://www.tokyovalley.com/yahoo_blog/article/article.php