毒餃子騒動 (11)日本のトップはなめられたんだ

この件についてはしばらく「日々是チナヲチ」の出店を続けています。
 以下に、その(11)を紹介いたします。

 内容にコメントある方は、直接、御家人さんにどうぞ。
よたコメントなら、ここでもいいですよ。
転載もと:http://blog.goo.ne.jp/gokenin168
毒餃子】トップの腰砕けを見透かされ、中国に多寡をくくらせた。それが全て。
                中国毒餃子 / 2008-02-29 10:34:56

 中国公安部が毒餃子問題について28日午前(昨日)に記者会見を開く予定。……という報道が日本で流れたので、昨日はその時間に仕事を片付けつつ国営通信社・新華社のウェブサイト「新華網」に飛んでみました。

 『人民日報』電子版の「人民網」も開いて両者の文字実況に張り付いたのですが、公安部の会見と聞いていたのに、開始早々、会見席にはこれまで素っとぼけた発表を行ってきた国家品質監督検査検疫総局(質検総局)の魏伝忠・総副局長も並んでいると知って、あーあと思いました。

 いままで必ずしも足並みを揃えていなかった公安部と質検総局が一緒に記者会見。しかも質検総局を代表して出てきているのが例の魏伝忠となれば、これはもう公安部がスタンスを修正し、中国側が質検総局ペースで統一されたも同然ではないですか。

 で、会見の内容は皆さん御存知の通りです。

 ●殺虫剤混入「中国での可能性極めて小さい」…公安省会見(YOMIURI ONLINE 2008/02/28/11:48)
 ●天洋従業員に嫌疑なし=「中国で混入」改めて否定-ギョーザ事件で公安当局(時事ドットコム 2008/02/28/12:42)
 ●中国公安省、日本で農薬混入示唆 「袋の外からも浸透」(asahi.com 2008/02/28/13:03)
 ●中国製ギョーザ:「毒物混入の証拠なし」中国公安省発表(毎日jp 2008/02/28/13:50)
 ●ギョーザ中毒事件 中国公安当局 中国での混入否定「可能性極めて小さい」(MSN産経ニュース 2008/02/28/20:47)

 当然のことながら、日本側からは強い反発の声があがっています。最前線で事件を捜査してきた警察筋や、外交ルートで接触を重ねてきた北京の日本大使館筋などです。

 ●「まったく理解できない」=客観的なデータ提示を-中国公安省発表で警察庁幹部(時事ドットコム 2008/02/28/13:25)
 ●中国側の批判、警察庁長官が強い不快感 ギョーザ事件(asahi.com 2008/02/28/21:05)
 ●中国側発表「看過できない」…警察庁長官が反論(YOMIURI ONLINE 2008/02/28/22:00)
 ●中国が食品安全協定案を提示=「事件究明が先決」と日本側2008/02/28/16:16(時事ドットコム)

 ところが遺憾きわまることに、われらが日本の司令長官の反応は以下の通り。

 福田康夫首相は28日夜、中国製ギョーザの中毒事件で、中国公安省が中国国内での毒物混入に否定的な見方を示したことについて「(中国の)捜査当局の発表は日本と共同して、しっかり調査したいということを言っていたんじゃないですかね。非常に前向きですね。中国も原因を調査し、その責任をはっきりさせたいという気持ちは十分に持っていると思う」と指摘した。(後略)

 ●ギョーザ事件 日本は中国に真相究明求める(MSN産経ニュース 2008/02/28/21:06)
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 ●原因究明、中国も前向き=ギョーザ中毒問題で福田首相時事ドットコム 2008/02/28/20:50)

 ともあれ事件はひとつのヤマを越えました。この時点で振り返ってみるに、先日当ブログが指摘したように、日本は初動から中国側のゲームプランに乗っかってしまい、そのまま相手ペースで事を運ばれてしまったようです。警察が奮闘して巻き返したものの、結局は一歩及ばずに中国側のシナリオを崩すことができませんでした。このまま進めば本来最も避けるべき「安易な政治的決着」に落ち着きかねません。

 フフン♪こと福田首相のコメントが全てです。相手の策にはまって好き放題にやられているのに、その中国側について「非常に前向きですね」などと言っています。初動で中国のゲームプランに乗ってしまった。乗ってしまった迂闊さもさることながら、そのまま乗っかり続けていたことこそ深刻です。

「相手の嫌がることをする必要はない」

 と、首相就任早々に外交カードを自分から捨ててしまう離れ業に出たフフン♪は、その後もその「強烈な個性」のまま、「無定見かつ無為無策」路線を貫いて現在に至っています。今回もその「個性」がそのまま出てしまった形です。

 中国側はたぶん福田首相のそういう「無定見かつ無為無策」なスタンスに基づいて素早くゲームプランを練り上げ、計算通り、その掌でフフン♪を踊らせることに成功した、といっていいでしょう。

 日本のトップが腰砕けであることに乗じて、

「奴ならまず意表に出ることはない。事なかれ主義から外れまい」

 と中国側に多寡をくくらせてしまったということです。実際、この事件に対する福田首相の姿勢は終始一貫、見事なまでに「無定見かつ無為無策」でした。政府がその方針である以上、現場がいくら頑張っても自ずと限界があります。
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 初動で中国側のゲームプランに乗せられてしまったのは仕方ないとしても(初動期には日本のマスコミの大半も同様に乗せられてしまったことをお忘れなく)、すぐに相手の意表を衝く挙に出てシナリオを崩せなかったことが現在のこの体たらくを招いたといっていいでしょう。

「日本は本気で怒っているのだ」

 という意思表示をせず、それを相手に思い知らせる措置にも出なかったのです。

 ●【中国食品】まずは輸入停止。話はそれからだ。(2008/02/04)

 ……というエントリーを、今回の事件の初動期に私は書きました。中国側のシナリオを崩すには、そのくらいのことをやる必要があった、といまでも考えています。むろん、乱暴で無茶な措置だということはわかっていますが、

「それじゃあ仕方がない。輸入停止だな」

 という姿勢を示し、ハッタリをかますだけでも良かったのです。

 最低でも、天洋食品の製品に対する輸入禁止だけはやるべきでした。事実上流通がストップしていたので形式的な措置ではありますが、日本政府がそういうアクションを起こした、ということが国際社会に知られれば、輸出依存型の経済構造であるうえ8月に北京五輪を控えている中国側は動揺せざるを得ません。

 さらに踏み込んで中国で製造・加工・調理した食品に対する輸入禁止の手続き(食品衛生法第8条)に入っていれば、それを実施するかどうかは別としても、中国側は慌てることになったでしょう。このため対応が変わって事態の推移も異なる展開をみせ、現在とは別の結果に行き着いていた可能性は十分にあったと思います。

 しかしながら、フフン♪は虚喝すら行うことのできない器でした。この時期にこの人物を総理大臣に戴いていたことは、日本にとってきわめて不幸だったというべきでしょう。
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 これ以上、語るべきことはそう多くはありません。フフン♪を頂点とする政府が頼りにならないことはすでに明らかです。マスコミも今回は消費者の怒りに煽られて報道に走ったようなもので、上述した通り初動期には中国のゲームブランに乗せられてしまっています。今後、「毒餃子事件」ひいては「中国食品問題」が売れ筋でないと判断すれば、各社が足並みを揃えてこの話題から手を引くことになるでしょう。

 以下に、御家人さんは今回の件で重要な結論を述べています。その部分を太字で紹介します。

 政府もマスコミも当てにはできない以上、私たちひとりひとりが最前線に立つことになります。非常に不愉快なことですが、国民の安全を保障すべき政府が腰砕けになっています。マスコミも日和見という行動原理から逃れられませんから、私たちからみればヘタレです。要するに、自分の身は自分で守らなければならない、ということになります。

 ライフスタイルを自ら規定し、情報収集、購買行動などによってそれを実行していく必要があります。もちろん、利便性や廉価といった安逸に流れるのも自由です。それでしっぺ返しを喰らっても自業自得ですから。

 ただし、私たちの手元に届けられる中国食品は、過度な農薬や発ガン性物質に漬け込まれた「有毒素材」がごく一般的に流通し、「食中毒なんて日常茶飯事」という環境のもと、そういう感覚をごく自然に持っている工場労働者や農家によって生産されていることは覚えておくべきだと思います。

 中国における生産者のそうした環境や感覚は構造的なものであるだけに、仮に今回の毒餃子事件が解決したとしても劇的な変化が生まれることはないでしょう。以前にも書いたように、結局のところ、私たちひとりひとりの意識と行動が問われている、ということになるのです。

 それは一見したところ、個人個人というちっぽけな存在が無力にあがいているように映じるかも知れません。やせ我慢なのかも知れません。

 とはいえ、現状はやせ我慢をせざるを得ない段階を迎えています。やせ我慢でいいではないですか。かつての士道がそうであったように、やせ我慢を続けることで凛とした矜持が生まれるのです。

 現在の日本の政体において、私たち日本国民には国家指導者を直接選挙で指名する権利はありません。しかし幸いなことに、中国製品を忌避する自由は持たされています(笑)。いまより少し手間をかけるだけで、それを消費者ひとりひとりが行うことで、食品メーカーはもちろん、政府にすら統御できない、そしてマスコミも無視できない大きな作用が生まれることになります。

 少なくとも自分たちだけは「無定見かつ無為無策」でないように、励もうではありませんか。


 以上、要約します。

行かない!、買わない!、食べない!



 さらに、付言します。

北京五輪に行くのはやめたほうがいい。マスコミは盛んにスポーツニュースで五輪参加をあおるけど、「それが商売」の「商売人」が言うことです。災難に遭いに行くようなものだ。

http://www.tokyovalley.com/yahoo_blog/article/article.php