【木佐芳男】日本の憲法が一度も改正されない理由はマインドコントロール(1)

The Sankei News  2018.8.27 09:00から、
「日本の憲法が一度も改正されない理由はマインドコントロール」ジャーナリスト木佐芳男氏が講演
を紹介いたします。

 日本国憲法が一度も改正されていないのは、戦後の日本国民がマインドコントロールから解放されていないからだ-。こう主張するジャーナリストの木佐芳男さんが「マインドコントロール憲法9条」と題し、松江市で講演した。読売新聞ベルリン特派員の経験を持つ木佐さんは、同じ敗戦国であるドイツとの比較を交えながら、戦後日本を占領したGHQ(連合国軍総司令部)が米国の戦争犯罪をごまかすミッションも持っていたとし、マインドコントロールからの脱却を訴えた。講演の主な内容は次の通り。
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1)GHQの裏の目的に「米国戦争犯罪の糊塗(こと)」
 講演のタイトルに掲げた「マインドコントロール」は、なじみのない言葉かもしれないが、実は日常生活の中でごく普通に行われている。テレビの通販番組や2月14日のバレンタインデー、昨年から今年にかけて騒動になっている「モリ・カケ問題」もその一種ではないかと思っている。
 日本が先の大戦で敗れ、GHQが日本をうまく統治するために使ったテクニックも、マインドコントロールだった。GHQの2大政策は、日本の非軍事化と民主化だった。日本が二度と戦争できないようにする、というものだ。だが、2大政策の裏に
アメリカの戦争犯罪をごまかす」という目的
もあった。
 アメリカは、昭和20年3月に東京大空襲を行った。計画的、徹底的に焼夷(しょうい)弾で街を焼き、約10万人が亡くなった。それ以降も各都市を空襲で破壊し、最もひどかったのは広島・長崎への原爆投下だった。これらは、軍隊ではなく一般人を狙った攻撃で、国際法が禁じる戦争犯罪だった。これらを日本人が批判しないよう、ありとあらゆる手段を取ったのだ。
2)言論統制に太平洋戦争史の新聞掲載、公職追放
 GHQが講じた最も基本的なマインドコントロールが、言論統制焚書(ふんしょ)だ。非民主的、天皇制の賛美、米国の戦争犯罪を扱うような内容の書籍を集めさせ、燃やした。さらに、書物や新聞などにこうした内容が新たに書かれないよう、言論統制を徹底した。GHQの検閲対象は、学級新聞や個人の手紙にも及んだという。
GHQ焚書図書開封」第125回
 次に、「太平洋戦争史」と題した連載記事を、当時発行されていたすべての新聞に10日間にわたって掲載させた。「GHQが負けた日本に対し、どんな戦争だったかを教えてやる」という内容で、この戦争を大東亜戦争」と呼んでいた日本人に突然「太平洋戦争」の呼称を強いた。その中では日本を軍国主義者」と「国民」に分けて軍国主義者を悪者にし、日本国民をうまく統治しようとした。その一方、戦争をあおったはずのメディアは責任を不問にされた。存続させる代わりにGHQが思うように統制したのだ。これが、現在に至るまで深刻な問題を残している。
 さらに「公職追放」で、GHQが軍国主義者とみなした政治家や大学教授、大企業の経営者らを一斉に失職させた。これで約20万人が公の場から去り、そこへ左翼的な人物が入り込んでいった。
公職追放と左翼の横行
問題なのは、公職追放に関する資料や研究があまりにも少ないことだ。GHQの言論統制焚書などで失われた恐れもある。

3)東京裁判ニュルンベルク裁判の違
 日本人の心に大きな影響を与えたのが、東京裁判だった。連合国側はこの裁判で、日本人に「日本が侵略戦争を起こした」という罪悪感をすり込んだのだ。
 私が、ドイツの戦後処理について、ドイツやその周辺国で時間をかけて取材をした際、「ドイツでは『侵略戦争』という言葉は使わない」と聞き驚いた。「侵略戦争」は歴史学上の専門用語で、一般に使われることはない、と。調べてみると、確かにドイツの戦争について書かれたものはたくさんあるが、侵略戦争という言葉はほとんど使われていない。
 両国とも同じ敗戦国で、日本では東京裁判があり、ドイツではニュルンベルク裁判があるなど、「同じようなことが行われた」と思っていたが、全然違っていた。ドイツでは「もう済んだことだ」と受け止められているが、日本ではいつまでも侵略戦争という言葉が残り、「戦争を起こして多大な迷惑をかけた」という罪悪感は強い。