深尾書簡(2)

 さて、深尾書簡のコピーを知り合いに頼んで取り寄せたのですが、これが読めない…。なにやら達筆らしい…くずし字が判読できない。毎日眺めていても、読めない。欲求不満はたまる一方で、投げ出す。また、眺める。子供の頃、習字をかじったことがあって(これが良かった)、筆跡で筆順を真似ている内に、ポツポツと読める字が出てくる。初めは、こんな調子でした。

  二□未□□□□□□安□寺□□も□□□□□□□□□何卒□□□□□□□□□□□□□
                 ↓
  二□未□御□□□□安顕寺様□も□□御□□□□□□何卒□□□□御□□□□□□□□

 あれこれ苦労して、こうなりました。

  二白未得御意候へ共安顕寺様へも可然御心得可被下候何卒何卒ふし御来臨可被下奉待候

 なんのこっちゃ?ホントにこの読みでいいのかいな?
 これに、高校漢文を思い出して「レてん」や「一」「二」をを入れると、こう読めました。

  二白未だ御意を得ず候へ共安顕寺様へも然る可く御心得下さる可く候何卒何卒ふし御来臨下さる可く待ち奉り候

 もう少し、読みやすく読み下し文にすると

  二白 未だ御意(ぎょい)を得ず候(そうら)へども、安顕寺様へもしかるべくお心得下さるべく候。何卒何卒ふし御来臨下さるべく待ち奉(たてまつ)り候(そうろう)。

 もうちょっと変えて

  二白(再啓)いまだ御意を得ず候へども、安顕寺様へもしかるべくお心得下さるべく候。何卒なにとぞ伏し御来臨下さるべく待ち奉り候。

(大意)
再啓 いまだ「こちらへおいで下さい」との私のお願いにご返事(御意)をいただいておりませんが、安顕寺御住職へも私の願いをお聞き下さるようお伝え下さいませ。何卒なにとぞ、おいで下さるよう、伏してお待ち申し上げております。

 まあ、大変でした。異体字(今では、使わない漢字)や、昔の言い回しや、意味不明な名詞やら…、大学の史学科で近世史をやっている学生や研究者なら分かるのでしょうが、シロウトの私は必要な知識を体系的に持っている訳ではありません。史学科の学生なら、「それ調べるなら、この本を読みなさい。それはこの事典みなさい。」ってなもんですが・・。高校漢文と、高校古文と、「深尾書簡」についての二、三の文献を頼りに、読み下し文を作りました。次回にそれをご紹介します。