戦後日本の「拘束具」としての日本国憲法(1)

 表題の論文は、「正論」2003年1月号に掲載された。論文の構成は、次のよ
うになっている。

 戦後日本の「拘束具」としての日本国憲法
 副題―平和主義、国民主権主義、基本的人権尊重主義のすべてが大きな害毒
を持っている。今こそ決別すべきだ!―
                 大月短期大学教授 小山常美(つねみ)
 (1)なぜ自国民の「人権」も他国民の「人権」も守れないのか
 (2)成立過程において議員達の自由意志はなかった
 (3)「日本国憲法」は無法な暴力に道を開く
 (4)「犯罪国家・日本」を再生産する「日本国憲法
 (5)公民教育が植え付けた侵略戦争という原罪意識
 (6)自己決定できない国家をつくる「日本国憲法
 (7)「人類普遍の原理」への盲信は卑屈な日本国民をつくる
 (8)神仏と歴史に根拠を置かない国民主権全体主義に道を開く
 (9)来るべき新しい憲法

 ここでは、日本国憲法について、次の2点を強調するために、この論文の一
部を抜粋紹介します。
(1)マッカーサー占領下で成立したもので、成立過程に国民による自由な審
議はなかった
(2)日本国憲法の内容は、自虐史観東京裁判史観)の再生産装置になって
いる

 以下は、その序文です。
  (1)なぜ自国民の「人権」も他国民の「人権」も守れないのか
(前略)なぜ、日本国は、日本人拉致事件やシン陽事件(2000年5月。中国の
シン陽にある日本の領事館に脱北亡命者が駆け込んだが、これを追いかけた中
国の武装警官が領事館内に立ち入って亡命者を連れ去った事件)の例に見られ
るように、自国民の「人権」や他国民の「人権」も守れないのか。
 これらは、筆者の立場からすれば、「日本国憲法」という欠陥憲法を日本国
が持ち続けているために生じた事柄である。自己決定できる国家こそが、毅然
とした態度で外国に臨んで内政干渉を許さず、国民の「人権」と日本を頼って
きた外国人の「人権」を守ることができる。
 だから、独立国の憲法というものは、国民の権利義務を保障するとともに、
それらを保障するためにも、自己決定できるためのシステムを規定しているも
のである。それゆえ、独立国の憲法は、その国自身が自らの自由意志で作成す
るものなのである。
 ところが、「日本国憲法」の内容は、総体として、日本人性悪説に基づき自
己決定できない国家に日本国をつくりなおそうとしたものである。また、「日
本国憲法」成立過程においては、日本国には、議員達も含めて、まったく自由
意志が存在しなかった。それゆえ、「日本国憲法」とは、内容の面でも、成立
過程の面でも、深甚なる害毒を日本国に及ぼし続ける存在である。とりわけ、
平成に入ってから、その害毒は、日本国の身体全体に広がり、その脳髄まで犯
しつつあるといえよう。
 筆者は、この十年以上、「日本国憲法」成立過程史に焦点を当てて研究を重
ねてきた。最近、その成果を『「日本国憲法無効論』(草思社)として発表
したが、「日本国憲法」の成立過程面からくる害毒とともに内容面からくる害
毒についても考えていきたい。