黄砂の飛来は増えている?

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図1.年別黄砂観測日数

気象庁のHPから転載。気象庁は「年次変動が大きく、長期的な傾向は明瞭ではありません。」と、慎重な表現をしています。
 しかし、私には、

これまでと違って、2000年から増加傾向にある

と見えるのです。
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図2.黄砂の発生源地域 第一

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図3.黄砂の発生源地域 第二

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図4.中国の夏季降水量(6~8月)の40年間(1961~2000年)の長期変化傾向(Endo and Yasunari, 2003)

 最近数十年間、東アジアの降水量は、ある地域では増加し、ある地域では減少しつつあります。
図4に見るように、
  梅雨前線の強い影響下にある中国の長江流域の降水は増加傾向にありますが、
  すぐその北の黄河流域の降水は減少しています。
つまり、ここ40年のデータによれば

黄砂の発生源地域は、砂漠化が進んでいる

ということです。
 おりしも、「中国四川省ゾルゲ県の長江・黄河の水源が砂漠化の危機」という記事を見つけました。
      http://www.recordchina.co.jp/group/g7824.html

 CO2などの温室効果ガス増加による「地球温暖化」で、気温の上昇が心配されています。それにより、「降水量や降り方がどう変わるか」は、気温上昇の予測よりも難しいそうです。
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図5.世界のCO2排出量の見通し

 温暖化の重大な影響として、次が挙げられます。
(1)平均気温上昇
(2)それによる、蒸発散量の変化と降水分布の変化
(3)その結果としての農作物の生産適地の変化

黄砂発生源地域で降雪量が減ったニュースは見たことがあります。温暖化は、本来は雪に埋もれる地表を露出させて乾燥させ、黄砂を風が巻き上げやすくする訳です。
 さらに、地球温暖化は、大気の循環に、まだ捉えきれていない悪影響を与えて、黄河流域を乾燥化・砂漠化しているおそれがあります。

「なるほどね…、『1961~2000年の40年間に華中から華北にかけて夏季の降水量が減っている』のは、分かった。それが、黄砂を日本に飛来させやすい条件を作っていることも確かだろう。でも、それならば、40年間に徐々に黄砂飛来が増大するはずだ。

それがなぜ、いきなり、2000年からなんだ?」


「そりゃ、知らん。気象学者に聞いてくれ。でもね、温暖化の影響は気温上昇に比例して出るのではないそうだ。氷が0℃を越えてはじめて溶けるように、ある程度の気温上昇までは、大きな影響がないんだと…。ところが、
限度を越してしまったある温度を境目に、急激に悪影響が増加する場合があるらしい。

『それが、2000年からだ』としたら、どうする!?」