韓国からの越境大気汚染

 「中国の公害」が日本を襲っているがこの書庫のテーマですが、
今回は
韓国を主とする朝鮮半島からの越境大気汚染に着目
して記事をまとめておきます。

1. 朝鮮の硫黄酸化物(SOx)
(1)1995年の発生量

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図1 東アジアにおける硫黄酸化物(SOx)の年間排出量(1995年)

出典:http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/12/10-11.html
最高濃度は「10g/㎡/年以上」で「赤」で示される。
 朝鮮半島では、ピョンヤン・ソウル~プサンにかけての、西~南海岸での発生量が最高濃度である。このような高濃度の広域汚染は、日本では見られない。

(2)日本への越境汚染

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図2 日本に酸性雨を降らせる原因物質(硫黄酸化物・SOx)発生源の年平均寄与率(1995年)

出典:http://www.nies.go.jp/nieskids/main2/sanseiu.html
年平均で、以下になる。
   1位:  中国(49%)
   2位:  日本の産業(21%)
   3位:  日本の活火山(13%)
   4位:  朝鮮(12%)
   5位:  東南アジア(2%)
   6位:  台湾(1%)

 朝鮮からの越境大気汚染は、硫黄酸化物については無視できるものではないことが明らかになった。
硫黄酸化物流入」を見れば、
「その他の大気汚染物質の流入も、無視できない事態にある」
と予想できる。
 次に、窒素酸化物の例を紹介する。

2. 韓国の窒素酸化物(NOx)
(1)1995年の発生量

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図3 東アジアにおける窒素酸化物(NOx)の年間排出量(1995年)

出典:図1に同じ
 朝鮮半島における排出量の分布パターンは、ほぼ「図1の硫黄酸化物」に類似している。しかし、ピョンヤン周辺はソウル周辺に比べて1ランク低い。北朝鮮では、自動車の使用が限定されているからだろう。日本でも、東京周辺の汚染度は高く広く、太平洋ベルト地帯に続いている。
 図3によれば、韓国の窒素酸化物の高濃度汚染分布域は、日本の関東地方(東京周辺)のそれの3~4倍と見積もられる。

(2)日本への越境汚染

韓国で発生した窒素酸化物(NOx)の汚染気塊が、日本へ流入している。

この事実について、最新のデータを入手したので、以下に「図4―1~7」として紹介します。

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図4―1 2007年11月16日 09時

ソウル周辺に広く高濃度の汚染気塊がある。プサンにも汚染気塊の中心がある。それらが、対馬・福岡県・山口県へ流れている。
 ちなみに、日本で赤い濃度にまで汚染された例は、このデータ元に気づいて以来、まだ見ていない。窒素酸化物(や硫黄酸化物)の排出に対する韓国の排ガス規制は、日本よりずっとゆるいのではないか?

「排ガス規制・日本・韓国」でネット検索すると、「韓国のディーゼル排ガス規制は遅れており、先進各国に比べて窒素酸化物濃度も高い」という記事が見つかる。

「韓国・大気汚染」でネット検索すると、中国ほどデタラメでないにしても、韓国の大気汚染は相当にひどいことが分かる。

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図4―2 2007年11月16日 14時

対馬は、高濃度の窒素酸化物で大気汚染されている。

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図4―3 2007年11月16日 16時

汚染気塊の先は、佐賀県長崎県におよぶ。

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図4―4 2007年11月16日 19時

ふたたび、ソウル・プサンの汚染濃度が高まりはじめる。北九州の西部は「汚染域」に入る。

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図4―5 2007年11月16日 22時


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図4―6 2007年11月17日 03時


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図4―7 2007年11月17日 10時

 韓国からきた汚染気塊は、瀬戸内工業地帯からの窒素酸化物と合流して、区別が困難になる。しかし、日本海上の汚染気塊が韓国発であることは区別できる。

図4の出典:http://www.jamstec.go.jp/frcgc/gcwm/jp/japan.html
 これをクリックすれば、1時間ごとの汚染気塊の動態を見ることができる。しかし、
10時間ぐらい前までしか表示されないので、特定の現象に着目するには、画像を保存しておく必要がある。

 図4から、日本の五島列島対馬隠岐などの島嶼部や、九州・中国地方西部は、風向きによっては「韓国(など朝鮮半島)から硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの越境大気汚染をしばしば受けている」ことが分かる。

西日本の化学物質過敏症の皆さん、敵は中国だけではありません。中国に隠れて迷惑な国もあることをお忘れなく‥‥。

 なお、

「図5. 2007年11月18日(日曜日)20時の窒素酸化物の濃度分布図」

を下に貼っておきます。
ソウル発の汚染気塊を、途中のプサンで補強した上での「ねらい撃ち」なんだから、もう、たまったもんじゃあありませんなあ‥‥。
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更に、最新データを次に追加。今度は、山陰地方がやられる場合。2007年11月26日.9:00-15:00(図6―1~3).


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図6―1. 2007年11月26日 9時

ソウルは、東京より汚染されていますねえ。韓国発の汚染気塊が、隠岐・山陰の海岸・対馬に到達。

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図6―2. 2007年11月26日 12時

千葉・東京・横浜も結構汚染されますねえ。

ソウル・プサンの赤の「真ん中が白く抜けている」のは、意味不明。

図4の出典:http://www.jamstec.go.jp/frcgc/gcwm/jp/japan.html
の「窒素化合物」の図の右の凡例によれば、
「白」は0~10ppbですよね。「赤」は300ppb以上です。
図4でも見られるように、ソウル・プサンの赤い汚染気塊の発生源中心が、いきなり「白」の低濃度(0~10ppb)になるのはありえない訳で‥‥。
通常は、汚染気塊は、その中心ほど濃いでしょうが‥‥。
ひょっとして、最高閾値を越して、測定不能なのか?
この点については、調べて、近い内に記事にしたい。
その記事はこちらです。

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図6―3. 2007年11月26日 15時

プサンの威力も、大したものですねえ。韓国産の汚染気塊は山陰の内陸部におよび、国産の汚染気塊と合流。



その他の関係資料
 「中国からの大気汚染で病気」
http://www.okadaue.com/health/e83.htm
 「団藤保晴の『インターネットで読み解く!』中国の酸性雨拡大にみる越境汚染の怖さ」
http://dandoweb.com/backno/20070814.htm
福島宏和「東アジアにおける大気汚染物質モニタリングについて-アジアの環境先進国としての我が国の展開-」
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt052j/0507_03_feature_articles/200507_fa03/200507_fa03.html