温暖化すると日本の植生帯はどうなる?(1)森林植生
http://www.tokyovalley.com/yahoo_blog/article/article.php
前回の記事↓は、内容てんこ盛りでなんだか分からなくなりました。
今回は、温暖化と植物にしぼってまとめておきます。
前回の記事↓は、内容てんこ盛りでなんだか分からなくなりました。
今回は、温暖化と植物にしぼってまとめておきます。
少し古いのですが、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、1995年に報告書をまとめました。次の内容です。
過去100年間に地上の平均気温は、約0・3~0・6℃上昇した。
対策が今のままだと、21世紀末の平均気温は現在より
約2℃(約1℃~3・5℃)高くなり、その後も上昇し続ける。
「たった2℃」ではありません。平成6年の猛暑でも、平年より1℃高かっただけです。氷河時代でも、現在より3~6℃低いだけでした。
平均気温の2℃上昇が大変なことだと分かります。
1996).以下、同様。
過去100年間に地上の平均気温は、約0・3~0・6℃上昇した。
対策が今のままだと、21世紀末の平均気温は現在より
約2℃(約1℃~3・5℃)高くなり、その後も上昇し続ける。
「たった2℃」ではありません。平成6年の猛暑でも、平年より1℃高かっただけです。氷河時代でも、現在より3~6℃低いだけでした。
平均気温の2℃上昇が大変なことだと分かります。
図1.1990~2100年の全球平均地上気温の変化幅の予測
出典:環境白書「地球温暖化の重大影響‐21世紀の日本はこうなる‐」(環境庁,1996).以下、同様。
さて、そこで植物なのですが、植物に限らず生物は環境の変化に対して、次の3つの選択肢をとります。
(1)自分が適応できる環境へ移動する。
(2)移動せず、その場で適応できるように自分を変化させる。
(3)移動も適応もできず、その場で絶滅する。
(1)自分が適応できる環境へ移動する。
(2)移動せず、その場で適応できるように自分を変化させる。
(3)移動も適応もできず、その場で絶滅する。
図2.平年気候と温暖化気候(21世紀)での日本の植生帯分布の比較
暖かさ指数:各月の平均気温からそれぞれ5度を引き(気温が5度以下の月は0)、1年間分を足し合わせた値。 移動するということでは、動物では想像できます。植物ではどうでしょうか。実は、植物も種子を飛ばして移動できますが、当然のこと、動物の移動の速さにはかないません。35年間に1℃気温が上昇する温暖化モデルがありますが、1℃上昇すると、気候帯は約80Km北上します。そうすると植物は毎年2・2Km移動することが必要になります。樹木の移動速度を次に示します。
表1. 木本植物の移動可能速度
モミ、シラビソ 40~300
植 物 移動速度(m/年)
ハンノキ、ヤシャブシ 500~2000
クリ 200~300
ブナ 200~300
クルミ 400
エゾマツ、トウヒ 80~500
マツ 1500
カシワ、コナラ 75~500
ニレ 100~1000
(参考)気候帯の移動:1500~5500m/年
つまり、こういうことになります。 樹木は気候の変化に追いつけない。
では、その場で適応力をつける道はどうでしょう。毎年生まれ変わる1年生草本なら、耐暑性を獲得する突然変異ができるかも知れません。しかし、「桃栗3年柿8年」と言われる樹木では、種子を生産できるまでに数年かかるのが普通です。種によって暑さに耐える能力に差はありますが、50年や100年でこれまでになかった耐暑性を獲得するのは難しいでしょう。となると、絶滅するしかないのでしょうか。
森林を構成する樹木は、実際には移動しながら適応を試み、うまく適応できた個体が子孫を増やして行く訳ですが、そうそううまく適応できるものではないでしょう。気候の変化に追いつけず、枯れたり、生育できなくなるおそれがあります。
自力で動ける動物にとっても、山岳や海峡などの地形や、都市や道路などの人工構造物が移動の障壁になります。このため、分布限界に位置する種や高山などに孤立して生存する種などは、行き場を失い絶滅するおそれがあります。また、森林に住みかや餌を依存している野生動物だけでなく、果樹や作物の栽培など、農林業にも大きな影響が及ぶはずです。
自力で動ける動物にとっても、山岳や海峡などの地形や、都市や道路などの人工構造物が移動の障壁になります。このため、分布限界に位置する種や高山などに孤立して生存する種などは、行き場を失い絶滅するおそれがあります。また、森林に住みかや餌を依存している野生動物だけでなく、果樹や作物の栽培など、農林業にも大きな影響が及ぶはずです。