植物レッドリストから何がわかる?(1)

http://www.tokyovalley.com/yahoo_blog/article/article.php
大自然保護研究会のHPから、以下の記事を引用します。なお、入力者が、一部を編集しました。
出典:http://www.interq.or.jp/jupiter/forest/report/7/report7a.htm

「植物レッドリストから何がわかる?(1999年)」

 皆さんはレッドリスト、またはレッドデータブックと言うものを知っていますか?それほど大きく違ってはいないのですが、前者は絶滅の恐れのある種を一定基準の評価基準に基づき、どれくらい絶滅の危険性があるかをランク付けしたもの、後者は前者を掲載した出版物を指します。ではそのランク、及びその基準はどのようになっているかというと、まずランクは

EX(extinct) 絶滅

EW(extinct in the wild) 野生絶滅

CR(critically endangered) 絶滅危惧ⅠA類

EN(endangered) 絶滅危惧ⅠB類

VU(vulnerable) 絶滅危惧Ⅱ類

NT(near threatened) 準絶滅危惧

DD(date deficient) 情報不足

のようになっています。そしてこれらのランクを決める基準なのですが、少々長くなるので別の場所にまとめておきました。興味のある方はここ↓をクリックしてご覧ください。
http://www.interq.or.jp/jupiter/forest/report/7/report7a%20plus1.htm

 以上が簡単なレッドリストの紹介です。しかしレッドリストから分かるのはどの種がどれくらい絶滅の危機に瀕しているということだけなのでしょうか?レッドリストに記載される種に関しては(当たり前ですが)その植物が属する科が記されており、しかもその生息する都道府県の名も書かれています。ただし、ただ読んでいたのではそれらがどんな意味を持つか分かりません。そこで今回私はこれらの、どのかの植物がどのランクにどれだけあるかと、各ランクにはどの都道府県に生息するものが多いかといったことを調べ、分かりやすくグラフ化しました。今回はそれを報告したいと思います。なお、この解析は多分に私感の入ったものであり、あくまで一つの見方に過ぎないことを承知しておいてください。

 まず最初は維管束植物(高等植物といわれるもの。シダ植物+種子植物の生育地に関する分析結果です。
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図1.各地方の1都道府県あたりの絶滅危惧類の数

 図1.は日本の各地方の1都道府県あたりの絶滅危惧類の数です。(←各地方ごとの都道府県数で割った「地方別・1都道府県あたりの絶滅危惧類の平均の数」らしい。
図1.からは
(1)日本の端の都道府県は絶滅危惧類が多い
(2)九州地方は全般的に絶滅危惧類が多く、逆に中国地方は全般的に絶滅危惧類が少ない
と言った特徴が見られるかと思います。
 (1)の理由としては、日本の端の都道府県にある植物は、そこが日本における分布の南限または北限になっているものが多いため日本における存在数が少ないから、と考えられます。
 (2)の九州地方に関しては、はっきりしたことは言えないのですが、だいたい(1)と同じ理由で、さらに南のほうが気候が暖かいため多様な植生が成立しうる、といったところでしょうか。中国地方に関してはもう全然分からないのですが、自然が破壊し尽くされたために絶滅した種が多いのか、または開発の手などがあまり及んでおらず、絶滅危惧類になるほど減少している植物が少ない、といったことが考えられます。

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図2. 絶滅危惧類の多・少の都道府県ベスト5

図2.は都道府県別で、最も絶滅危惧類の多い、少ない都道府県ベスト5を挙げています。
図2.からですが、
(1)日本の端の都道府県には絶滅危惧類が多いが、特に鹿児島県が突出して多い。
(2)図1.では特に多くなかった中部の静岡県山梨県(←長野県の誤りらしい。)に絶滅危惧類がかなり多く存在している。
と言ったことが読み取れます。ほとんど図1.と傾向は同じです。ではまず
 (1)に関して、なぜ鹿児島県に絶滅危惧類が集中しているのでしょうか。鹿児島県は県として面積が広く、また数多くの島を持っています。そして沖縄をのぞけば日本の南端に位置していると言う、複合条件の重なりによるものでしょう。数多くの島を持っているという点では沖縄のほうが島の数は多いでしょうが、開発されている度合いが鹿児島県のほうがはるかに大きいことにより、鹿児島県のほうが多くの絶滅危惧類を持つのでしょう。
 (2)に関してですが、これは正直全く予想していなかった結果で、理由は全くわかりません。ただ、次のデータと比較していただくと面白い傾向が読み取れると思います(続く)。

入力者コメント

 (2)の理由ですが、北アルプス南アルプス高山植物(亜高山帯を含む)が、静岡県・長野県の絶滅危惧類数を引き上げているのではないでしょうか。次の記事で両県の固有種率が低いことが挙げられます。高山植物は、本州中部以北に分布するものが多く、固有種はそれほど多くはありません。図2.の「絶滅危惧類の少ないベスト5」に入る福井県と石川県が、中部地方各県の絶滅危惧類の数の平均値(図1.)を引き下げているのではないか、と思います。
 とりあえず、私は上のように考えています。「本当にそうなのか?」を調べるには、「植物レッドリスト」をプリントアウトして、集計を取らねばなりません。それには、たぶん、3日ぐらいかかります。これは、今の私にはちょっとツライ。