中国の少数民族支配と搾取には共通のノウハウ
中国の少数民族支配と搾取には共通のノウハウ
「人権」の問題は本質ではなく、侵略者がそこにいまもいる、のが大問題だ |
宮崎正弘
欧米は中国の少数民族支配を「人権」の視点で捉えている。
ここで言う「少数民族」とはチベット、ウィグル、南モンゴルなど。
人権問題は、しかしながらコトの本質ではない。基本は他人の国を侵略し、 略奪の限りを尽くした後も、その残忍な侵略者が、まだそこにいて、残虐無比な支配を続行しているという事実である。
中国共産党の少数民族「支配」のノウハウには下記の七つの共通項がある。 |
第一は言語政策と歴史教育である。徹底した普通語(北京語)教育を小学生から強制して教え込み、民族独自の言葉を若者から奪った。 |
民族が伝統的な言語を失うと、歴史の記憶も希薄になり、やがて民族のアイデンティティを失う。 |
第二は党細胞が、侵略した地域の奥地に至るまで確立されており、行政が末端に及んでいると豪語している。 |
したがって支配階級(=党)に反旗を翻そうと組織行動をとれば、すぐに弾圧される。
第三は資源の盗掘を「地域の経済発展」だと嘯いていることだ。 |
チベットの水資源は長江、黄河に流れ込んでいる。
ウィグルは核実験場として、或る研究レポートでは19万人が被爆して死亡したという。広島の直接の爆死者より多い。そのウィグルで原油とガスを漢族の「企業」が盗掘し、上海など漢族の生活圏へ輸送している。
地元に利益還元は殆どされず、たとえ利益還元があっても、それは地元の共産党幹部しか潤っていない。
モンゴルからも石炭や鉱物資源が盗掘されている。
第四は徹底した宗教弾圧である。 |
モスクはかたちが残るだけで朝のお祈り風景は見られず、いやコーランが禁書であり、宗教音楽さえ聴くことは稀である。
だから人々は「どうぜスパイが混入した表通りの寺院やモスクへは行かない」。キリスト教の多くは地下教会でお祈りをする。
第五は都市設計である。 |
ラサでもモスクが目を引く。ムスリムが大量にチベットに移住させられている。
こうして異教徒をモザイク状に配置して民族同士の紐帯を阻害し、分断し、支配を強固なものにするのである。 |
▲漢族以外の「少数民族」に対しては人間の尊厳が無視されている |
第六は民族浄化。雇用差別である。 |
ウィグルには、革命後は多くの満州族が強制移住された。その後、漢族の移住が推薦され、省都ウルムチは90%が漢族の街となった。現地では漢族に就職が斡旋され、アパートが提供された。
このウィグルを十六年の長きにわたって支配しているのが王楽泉(新彊ウィグル自治区党書記)である。
この男は山東省出身で、かれの周りは山東マフィアが取り巻き、実弟らが利益集団を形成している。
「テロリストの対象になっている」と嘯いて大勢のボディガードに囲まれて移動する。民衆の怨嗟の的になっていることだけは自覚しているらしい。
漢族以外の「少数民族」に対しては「人間の尊厳」が無視されている(そもそも数百万のチベット族、ウィグル族、モンゴル族を「少数」と規定する語彙の使用そのものが、政治的意図をもった言葉による詐術である)。 |
第七は軍事優先ですべてがなされていることで、民主主義って、それ何?という感じである。 |
ウィグルには70万人と言われる。
反漢族への反乱が起きたとき、軍事的にひねりつぶすため、対外戦争の筈の軍が対内戦争の準備のために割かれているのである。 |
世界でも初めての試みであった「3民族連帯シンポジウムおよびデモ」は予定通り執り行うことができました。 10月18日のシンポジウムには200人を超える方々が参加くださいました。他人の国を侵略した中国政府が、現地でどのような支配をしているのか、チベット、モンゴル、ウイグルの代表によって詳しく説明されました。中国政府による残酷な支配をやめさせるためには3民族が連帯していかなければならない、ということを確認しました。またアジアの民主主義の先進国である日本は、彼らを助けていく道義的義務があることを確認しました。 19日のデモには250人の参加者がありました。 チベット、モンゴル、ウイグルの旗、プラカードによって中国の圧政下にある民族の声を渋谷の町の人々にアピールしました。オリンピックが終わって徐々に関心が薄れているとはいわれているものの、沿道の方々の反応は暖かく、とても良いアピールができました。 ご参加、ご協力くださったみなさま、そして参加はできなくても応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。 今回表明された3民族の連帯を、より一層発展的なものとして、今後も活動していきたいと思います。ご支援の程よろしくお願い致します。 3民族シンポジウム実行委員会 決議文は次の通りです。 「チベット・南モンゴル・ウイグル 三民族連帯シンポジウム-真の多民族共生を考える- 私達は本日、東京にて、「真の多民族共生を考える、チベット・モンゴル・ウイグル三民族連帯シンポジウム」に参加した。ここで訴えられた三民族の現状は、現中国共産党の一党独裁体制のもと、民族独自の言語、歴史伝統、文化が破壊され、当然の権利である民族自決権を主張しただけでテロリストと見なされて弾圧を受ける、まさに民族浄化政策と呼ぶべき暴政の支配下にあることが判明した。 しかも中国共産党政府は、これら民族の生活圏環境を徹底的に破壊し、民族は固有の生活伝統を維持できないだけではなく、核実験によるおびただしい人的災害を引き起こしている。かつて東西文明の豊かな交流をもたらしたシルクロードは、今や核汚染の危機に晒されているのだ。この事態は特にウイグルにおいて顕著であり、未来の子ども達への二次災害の恐れも危惧されている。 私達は、この残酷な悲劇の根源は中国共産党政権の独裁体制にあるものと見なす。 中国共産党政権は、言論の自由、結社の自由、民主主義の確立、そして民族自決権を承認し各民族の独立権を認めない限り、最早政権の座に留まることは許されない。 そしてこの様な民族浄化政策や環境破壊政策を国是とする中国は、国連の安保理常任理事国としての資格はなく、国際社会は速やかに中国共産党政権に対し抗議と制裁の意志を示すべきである。 そして自由と民主主義の価値を尊重し、民族自決権を歴史的に当然の権利と考え、かつ世界の環境改善に力を尽くす意志を持つ我が日本国政府並びに日本国民は、隣国中国で繰り広げられているこの現状を座視することは許されない。 私たちは中国政府及び日本国政府に対し、以下のことを要請する。 1、中国共産党政権は一党独裁体制をやめ、言論の自由、結社の自由、民主主義の確立、そして民族自決権を承認せよ。 2、中国共産党政権は核汚染の恐れのある核実験を全面停止し、国際的な調査団による汚染状況の調査と適切な措置を受け入れよ。 3、日本国政府は、中国政府が上記2項目の姿勢を実行する事を求め、その実行なき場合は、対中経済支援の即時停止、中国に対する経済制裁などで抗議する姿勢を示せ。 4、日本政府は中国共産党政権の民族浄化政策に抗議し、同時に独立運動や人権運動を積極的に支持し、また彼らの政治亡命を受け入れよ。 以上、報告です。 (MU生、葛飾) (宮崎正弘のコメント)大手マスコミこそ取り上げませんでしたが、あちこちで相当話題を呼んだようです。ただし一つだけ気になる情報は、左翼が相当数デモに混じっていた由です。出典:http://www.melma.com/backnumber_45206_4264278/