東京裁判とニュルンベルク裁判(7)

11)アメリカの代官としての日本政府
つまり、講和独立後も日本政府はアメリカによる日本間接統治の代官としての役割をそのまま継続し、アメリカの作った東京裁判史観という嘘で日本国民の本音に蓋をし続けることを使命とした機関であり続けたのだといえます。それは天皇制度を維持して、天皇を利用して連合国にとって都合の良い安定した日本を維持し、新世界秩序(結局はアメリカの国益という側面もある)の安定化に寄与することを主な目的とした機関でした。
 戦後日本政府の特色として、日本の国益よりも新世界秩序への奉仕、国連(連合国)への貢献などを重視する傾向が強いというものがあります。それがいわゆる「国際主義」というものですが、日本の国益よりも国際貢献重視というやつです。新世界秩序とは恒久平和であり、日本の国益や安全保障を犠牲にしてもあくまで平和主義重視というのも新世界秩序重視と同義であります。
 
 むしろ日本国民の本音というものこそが新世界秩序を不安定化させる要因であったのであり、
日本政府は新世界秩序を守るために日本国民を潜在敵と見なして対峙し、日本国民の本音に蓋をして、日本国民を新世界秩序にとって都合の良い存在へと改造し誘導していくことを重大な使命としていたといえます。そのために占領軍が作り上げた言論統制システムを受け継ぎ、日本国民を騙して洗脳し、また新世界秩序にとって都合の悪い言論は検閲して抹消していくことになりました。また、占領軍が実施しようとしていた学校教育を使った日本の学童を対象とした洗脳プログラムを引き継いで実行し、新世界秩序の良民を育てていくことにもなりました。
 なんてことはない、
予想外に早かった占領統治の終わりによって、本来は占領軍が20年間ぐらいかけて行うはずだった任務を日本政府が受け継いだだけのことだったのです。そうして主権回復後20年ぐらい経った1970年頃には日本政府やマスコミや学会などの努力の甲斐もあって、すっかり日本国民も東京裁判の判決を心から受け入れてアジア諸国に謝罪をしまくるような、新世界秩序における最高の優等生、良民になっていたのでした。
東京裁判において生じた歪みは、原爆と天皇を裁きの場から隔離し続けるために占領統治終了後においても日本政府が虚偽だらけの東京裁判史観を順守して、新世界秩序の安定化のために日本国民の健全な真実を求める傾向を言論統制によって弾圧するという倒錯をもたらしたのでした。戦後日本政府の何故か日本国や日本国民に対して冷淡で、外国や国際社会、国連などに対しての思い入れが過度に強い傾向というのは、このあたりに根本的原因があるのです。

12)日本の戦後処理の弊害
 ここまで見てきたポツダム会談でドイツの戦後処理に関して定められた方針である
「敗戦国は国外派遣軍を引き揚げる」
「敗戦国は不当に併合した領土を返還する」
「国外在住の敗戦国人を本国へ送還する」
戦勝国は敗戦国およびその首都を分割して直接統治する」
「敗戦国は非武装化される」
「民衆と戦勝国を免責し敗戦国の統治階級を断罪するプロパガンダ言論統制を実施する」
戦勝国は敗戦国に対する戦争賠償の請求権を放棄する(在外資産没収は除く)」
戦勝国が敗戦国だけの戦争犯罪を裁く特別軍事裁判を実施する(人類史上稀に見る凶悪な犯罪を犯した敗戦国の人道に対する罪、平和に対する罪、通常戦争犯罪を裁くために特別なルールで運営される法廷)」
などを日本の特殊事情も考慮せずにそのまま安易に戦後日本にも適用しようとしたことによって生じた弊害を、その結果だけ再びまとめていきます。

 まず日本の降伏を無意味に遅らせてソ連の侵攻する時間的余裕を多く与えてしまい、アジアに共産主義が大いに浸透するきっかけとなり、アジアで何億もの人々が無残に殺される下地を作りました。
 日本は米軍の単独統治で日本政府を介した間接統治となったため、分断国家化を免れましたが、憲法9条など厳格な非武装方針が主権回復後も貫かれることとなり、再軍備後も普通の国家として自立した軍事力を持つことが出来ず、自衛隊には様々な足枷が嵌められることとなり安全保障面で立ち遅れた状態が続くことになりました。そして軍閥悪玉史観が生まれたために軍隊に対する不信感が広がるようになり、健全な安全保障論議を制約するようになってしまいました。また、国際情報に疎く内向きな戦後日本人気質を作るきっかけにもなりました。
 また、神道、特にその中でも国家神道が悪いイメージで見られるようになり、国家が宗教に関与することがタブーとされるようになったので宗教が一般から縁遠いものとなり、宗教についての無知が蔓延し、まともな宗教が衰退して日本人の精神が虚弱となり、怪しい邪教のような新興宗教がはびこるようになりました。
 更に戦前の朝鮮人差別に関する虚偽の混じった誇張が広められ、朝鮮人に対する過度の優遇措置、それに伴う在日朝鮮人の無法行為を引き起こし、それらによる反発から戦後日本における在日朝鮮人への嫌悪感を生み出しました。また、それに対する対応として朝鮮人を擁護する言論界の傾向が生まれ、戦後ずっと維持拡大されていくこととなりました。
 加えて、治安維持法に対するネガティブ・キャンパーンが行われ、共産主義活動に対するイメージ・アップが図られるようになり、戦後の共産党の躍進と左翼系文化人などの跋扈へと繋がっていくようになりました。
 そして、
日本の近代史が丸ごと侵略の歴史であるという珍妙な歴史観が発明され、それを基にして、アメリカの世界戦略に則ってのアジア諸国への贖罪を口実とした経済支援や利権ビジネスを正当化するために日本がアジア諸国に悪いことをしたという自虐史観プロパガンダが大いに展開されるようになり、これが日本における自虐意識や贖罪意識を生み出し、若者世代の精神荒廃に繋がっていきました。
また贖罪外交の行き過ぎによって朝鮮半島や共産シナにおいて反日政策を生み出して反日感情を激化させることになったのでした。

13)アメリカの代官「敗戦貴族」
 こうした虚偽の歴史観や誤った占領方針などを正当化するためのプロパガンダや、それらへの批判を封殺するための徹底的な言論統制が占領軍によって行われるようになり、国民には秘密でマスコミ操作、検閲、焚書などが行われました。
こうして国民を裏切って占領軍の手先となったマスコミ、言論人、学者、文化人などがアメリカ政府の指示を受けて新世界秩序の安定化のために日本国民や日本政府を監視したり騙して操ったりする秘密特権階級を構成するようになりました。またこの特権階級が作り上げた学会の定説に則って虚偽の内容が学校教育の中で教えられるようになり、歪んだ考え方の日本人が大量生産されるようになったのです。
 更に「日本の軍閥が世界征服のために共同謀議して侵略戦争を起こした」という荒唐無稽な東京裁判史観が生まれ、天皇と原爆を不問にするために日米両政府が東京裁判史観を公式史観とすることで協定を結び、日本政府は日本国民が新世界秩序の決めたレールから踏み外して東京裁判史観を否定したり原爆の罪を告発したりしないように誘導したり監視したり真実を隠して騙したりする役目を担うようになりました。こうして戦後日本政府を構成したあらゆる与野党の政治家や官僚もアメリカ政府と繋がった秘密特権階級を構成するようになりましたが、マスコミや文化人らは政府に従属するのではなく、政府から独立してアメリカに直属して政府の裏切りを監視する役目も担いました。

 いや、この秘密特権階級は政治家も官僚もマスコミ人士も言論人も学者も文化人も、それぞれがそれぞれを監視しつつ日本国民を支配して操り利用して、日本よりも新世界秩序の利益になるようにあらゆることを図ることに存在意義のある戦後日本の支配階級でありました。

占領軍は日本に乗り込むとすぐにこの新しい特権階級と手を組み、彼らの意向を受けて、「日本の民主改革」という名目で、既存の支配階級であった皇族、華族、軍人、財閥、地主階級や、新たな特権階級の人達にとって邪魔な人材などを全て公職追放民主化改革などにかこつけて追い出し、その代わりに彼ら新特権階級を支配者の地位につけて、占領軍の日本間接統治の代官の役目を与えたのでした。この新特権階級は、敗戦によって支配階級にのし上がったという意味で「敗戦貴族」と呼んでいいでしょう。

戦後日本は現在に至るまで、この新世界秩序の忠実なる僕である「敗戦貴族」の血統や人脈の人士たちによって支配されており、彼ら「敗戦貴族」たちは互いに抗争し合い監視し合いつつ、天皇を象徴として祭り上げて中央集権体制と戦後民主主義体制を維持してそこから生まれる利権を貪るという点と、新世界秩序や連合国の利益のために日本国民をコントロールしていくという点では共闘していくことになりました。その新世界秩序が崩れ去ろうとしている現在、この「敗戦貴族」たちの存在意義は消滅しようとしており、その腐敗ぶりも頂点に達しており、彼らの支配体制も今や自壊寸前となっているのです。
それは政権交代などというような卑小な話ではなく、与野党問わず、政官問わず、マスコミも御用学者も知識人や文化人もひっくるめて、みんな同じ穴の狢の「敗戦貴族」なのですから、彼らの退場は支配層の交代という大きな枠組みの話なのであり、国家体制そのものが変わろうとしているのだと考えたほうがよいでしょう。
 彼らの戦後体制については後ほど触れていくことになるでしょうけれど、まずここで彼らの支配体制を生み出していく過程で特に重要なキーワードとなったのが原爆と天皇であることは上記の文を見れば明らかでありましょう。その原爆と天皇の持つ意味の重大性が急速に認識されていったのがポツダム宣言の発表から原爆投下を経て終戦に至る一連の流れの中であり、ここで再びその時間の流れに記述を戻したいと思います。

引用終了


 この記事に取り上げた部分の「KNブログ」について,
「株式日記と経済展望」(2009/4/16)が取り上げています。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/57c8e0bdb97847cf980e1851e5c3f996
 そのうち,toraさんのコメントの一部を以下に示しておきます。

戦後の日本人はテレビと言う洗脳機械によって見事に洗脳されてしまった。NHKがあのような放送をすれば国民の大部分があの番組を信じて、日本は酷い占領統治をした犯罪国家と言う意識が植え付けられて、東京裁判が正当化されていくのであり、平和憲法も安泰であり、在日米軍も安心して日本にいられるという事になる。支配階層である政治家や官僚にとっても権力の後ろ盾になるのは天皇ではなく在日米軍なのだ。