餓死寸前でもノーテンキな日本人

 (平成22年6月16日 武田邦彦・執筆)
出典:http://takedanet.com/2010/06/post_f5db.html

 日本人というのは真面目で心配性なのに、なにかノーテンキなところがある。
 戸籍がある国が世界で6カ国、水道が飲める国が7カ国。戸籍があるというのは「氏素性」だから、外国からほとんど敵が攻めてこない国しか戸籍はできない。
つまり,日本人はほとんど「入れ替え無し」で2000年間、生きてきた国だからだ。
世界でも希な恵まれた国、そんな国に育つと、「真面目で心配性でノーテンキ」ということになるのだろう。

このグラフは衝撃的だ。

横軸がその国の人口,縦軸が穀類自給率で、世界の国の考え方が全て判る。

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まず、人口が数億人以上の国,つまり、中国,インド,アメリカなどはすべて穀類自給率は100%か、あるいは100%以上だ。というのは人口が15億人の中国がもし10%の食糧がショートすると1億5000万人分だから、世界のどこの国も助けられない。
そこで、人口が多い国の指導者の役割は、まず国民を飢えさせないことだから、穀類自給率を100以上にしておく。
グラフの右の方の国だ。
次に「先進国」だが、先進国はお金に余裕があるから、国民を「餓死」させるわけには行かない。だから人口が少なくても穀類自給率は100%以上にしておく。それがグラフの100の線の上の方にあるドイツ,フランスなどである。もとよりフランスは農業国だから自給率は高い。
グラフに曲線が2つ書いてある。上の線は「自給率が高い国」の線で、下の線は「ギリギリ、国民が餓死しない線」である。

日本以外の世界の国はこの2つの曲線の間に入っている。

それなのに!? なんということか!

日本だけがこれほど裕福なのに、まったく特別なところにいる。人口は1億人以上,裕福で、かつ穀類自給率は25%以下だ。

どういうことだろうか?
外国から輸入できる? そんなのんびりとしたことを考えている国は日本以外にはない。

おまけに海軍がない。だから外国から日本人の食糧を運んでくる運搬船を止めることはすぐできる。それでも日本人はゆったりと安心している。

不思議な国だ。その回答を次に示した。
……リンダウ。長崎近郊の農家にて。1858年。

「火を求めて農家の玄関先に立ち寄ると、直ちに男の子か女の子が慌てて火鉢を持ってきてくれるのであった。私が家の中に入るやいなや、父親は私に腰をかけるように勧め、母親は丁寧に挨拶をして、お茶を出してくれる。家族全員が私の周りに集まり、子供っぽい好奇心で私をジロジロ見るのだった。……幾つかのボタンを与えると、子供達はすっかり喜ぶのだった。「大変ありがとう」と皆揃って何度も繰り返してお礼を言う。そして跪いて可愛い頭を下げて優しくほほえむのだったが、社会の下層階級の中でそんな態度に出会うのは、全くの驚きだった。私が遠ざかって行くと、道のはずれまで送ってくれて、ほとんど見えなくなってもまだ「さようなら、またみょうにち」と私に叫んでいる。あの友情のこもった声が聞こえるのである。」
人類、みな兄弟。日本人だけがそう思っている。

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ウズベキスタンへの亡命を求め国境近くに集まったウズベク系のキルギス住民
(2010年6月14日)。
キルギス、人道危機:http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100615/erp1006151955007-n1.htm

以上のような状況を受けて、武田さんは次のように結論づけている。

今のままでは、日本は日本人そのものや食糧を守らなくても良いと言う判断もあり得るが、その場合は拉致されても,餓死しても文句を言ってはいけない。それは『大人としての』私たちの最終的な判断だからである。