講義 満洲事変 (宮田昌明・倉山満)

有名なエピソードがある。1931(昭和6)年に満洲事変が勃発して、日本が国際的に非難されていた時、アメリカの広告会社が大挙してワシントンの日本大使館に押しかけ、「われわれが日本の言い分をアメリカの世論に大々的にキャンペーンしてあげます。だから契約書にサインを」と迫ってきた。

 日本の大使は、こんなプロパガンダなどは「外交には無縁」と、すべて断って追い返してしまった。すると、彼らはその場でタクシーに乗って中国大使館に行き、大々的な契約を結んだ。その結果、その後に起こった上海事変も、日本側が引きずりこまれたにも関わらず[e]、日本側から武力を使ったように歪めて報じられ、欧米で反日感情が沸き起こった。[1,p66]

 我が国が日中戦争、日米対立から大東亜戦争開戦へと悲劇の道を進んでいく過程の裏には、蒋介石政権によるきわめて活発な対米ロビー活動があり、非合法のルートも使われて米側に資金が流れていた。そうした史料が最近、公開され始めている。[1,p64]
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                  日本先制爆撃計画(JBー355)へのルーズベルトの承認サイン:↑


蒋介石だけではない。そこに、スターリンが介入していた。
さらに、国際金融資本が、カネ儲けのために戦争を望んだのである。

序論(12分)

本論(92分)

大東亜戦争肯定論の新拠点。
英米中はじめ世界各国を緻密に分析、20世紀前半の
世界情勢を描写する新たな歴史観を提起する!


宮田昌明 (2014) 『英米世界秩序と東アジアにおける日本――中国をめぐる協調と相克 1906~1936』

日本の外交史研究の可能性に挑む大作
二十世紀前半の日本の中国外交と世界意識、
英米の世界戦略と東アジア外交
各国の内政、外交、通商、移民、安全保障の交錯を緻密に描く

目  次
はじめに
序章 自由主義の理念と制約される世界
第一部 対等の地位を目指して
第一章 桂園時代の国家的展望
第二章 同盟外交と通商条約改定交渉
第三章 革新主義時代のアメリ
第四章 辛亥革命、大正政変とその後の内外情勢の緊迫化
第五章 第一次世界大戦期の日本の中国外交
第六章 第一次世界大戦期の日米関係
第七章 国際連盟の創設
第二部 国際的自立と内外融和への模索
第八章 ワシントン会議から排日移民法の成立へ
第九章 戦後イギリスの政治理念と外交、帝国戦略
第十章 日本における政党内閣と内外政策の転換
第十一章 北京関税特別会議と北伐への対応
第十二章 陸軍改革運動と張作霖爆殺事件
第十三章 米英日の新政権と世界恐慌下の内外政策
第十四章 治外法権撤廃交渉
第三部 広域経済圏形成の中で
第十五章 満州事変の勃発
第十六章 満州事変期の政治、経済再編と対外関係
第十七章 満州事変後の対中国政策
第十八章 帝国領域としての満州国
第十九章 イギリス自由主義アメリ自由主義の相克
第二十章 陸軍派閥対立と華北分離工作
終 章 二十世紀前半の英米世界秩序と日本