中学歴史教科書のアイヌの記述

 政府は2月15日、アイヌ民族を「先住民族」と初めて明記したアイヌ新法案を閣議決定し、国会に提出した。差別の禁止を定め、観光や産業の振興を支援する新たな交付金制度を盛り込んだ。今国会での成立をめざす。

以下の出典:「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成31年(2019年)2月18日(月曜日)通巻第5994号
    http://melma.com/backnumber_45206_6790051/

(読者の声3)アイヌ問題、次の意見、ならびに教科書の偏向、その是正がネット上に議論されています。
「中年z」氏の投稿を下敷きにした具体的な情報です。
 曰く。
「中学歴史教科書8社の記述比較の結果判明したことは、アイヌ明治新政府の近代化・文明開化
、北海道開拓の歴史において、
アイヌを日本国民ととらえるか、
被差別少数民族としてとらえるか
に分類できます。もちろん、前者は圧倒的に少なく、自由社のみです。育鵬社はそもそも記述
がありません。残る反日教科書グループ6社(東書、教出、帝国、清水、日文、学び舎)、いずれも
明治政府によるアイヌ文化否定や、同化政策、差別、土地没収などのオンパレードです」
そして典型例が明示されています。以下引用です。
例1 東京書籍
  第5章2節「明治維新」
  単元5【国境と領土の確定】
  ■北海道の開拓とアイヌの人々
  「さらに開拓が進むにつれて、先住民であるアイヌの人々は土地や漁場をうばわれただけでな
 く、アイヌ民族の伝統的な風習や文化などを否定する同化政策が進められました」(169頁)
 大コラム【深めよう 北海道とアイヌ民族の歴史】
  ■近代以降のアイヌ民族
  1869(明治2)年、政府は、蝦夷地を北海道と改称し、開拓使を置いて日本に編入しました。
 北海道では近代的な土地所有制度が実施され、アイヌの人々は職業や生活の場所をうばわれて
 いきました。1899年、政府はアイヌの人々の生活を保護する名目で「北海道旧土人保護法」を
 制定しますが、あまり効果はありませんでした。
  第二次世界大戦後、社会保障や福祉政策が整備される中で、アイヌの人々の生活や教育などに
 関する特別な施策は行われなくなりました。1997(平成9)年には、アイヌ文化振興法が制定され、
 北海道旧土人保護法は廃止されました。この法律は、アイヌの人々の民族としてのほこりを尊重
 し、アイヌ語やその音楽、舞踊、文学、工芸などの文化の振興を図り、それらについての調査
 研究などを奨励するものです。 (235頁)
  第6章1節「第一次世界大戦と日本」
  単元6【広がる社会運動と普通選挙の実現】
 ■解放を求めて
 北海道では、差別に苦しむアイヌ民族の解放運動も起こり、1930(昭和5)年には北海道アイヌ協会
 が結成され、日本の社会への同化政策に反対しました。  (209頁)
例2.自由社
 小見出しアイヌの保護と国民化」
  明治政府は、本土から屯田兵を入植させて北海道の開拓につとめました。アイヌに対しては農業
のやり方を指導して、農耕民となることをすすめました。
  すでに江戸幕府は、アイヌの人口を増やすために、若い男女に結婚を奨励しました。医療施設を
置き、天然痘を防ぐための種痘を実施しました。
  政府も、幕府の人口増加政策を受けつぎ、定住生活を送るように指導し、死者が出たときに家を
焼きはらう慣習を禁止しました。
  また、文明開化の観点から、男の耳環と女の入墨を禁止しました。さらにアイヌの子弟に文字を
教えるために学校を設立し、親に金銭をあたえて、子供を学校に行かせるように指導しました。
学校では給食を提供し、入浴させて身体を清潔にすることを教えました。
  しかし、アイヌの人々は、新たに導入された近代的土地所有制度によって認められたわずかな
土地も、不利益な条件で賃貸したり手放したりしました。
  そこで、明治政府は、1899(明治32)年、「北海道旧土人保護法」を制定し、農業を希望する
アイヌに5町歩(約5万? )の土地をあたえました。
  そして、契約に慣れていないアイヌが和人に土地を取られないように、相続以外の土地の譲渡を
禁止しました。このように、明治政府はアイヌを日本国民として保護しました。

 小見出しアイヌ文化振興法へ」
  ところが、この法律の下では、農耕に適さない土地を含めてあたえられるなどの問題もありました。戦後の農地改革によってアイヌの土地のほとんどが没収されたため、この法律は、アイヌ保護法としての存在意義をなくしてしまいました。また、「旧土人」という呼称がしだいに差別的な意味合いを持つようになったため、1997(平成9)年に廃止されました。(175頁)」(以上、引用終わり)。
両者、あまりにも差異が歴然としていますが、後者が正しい解釈であり、現在国会で議論されて
いる「先住民族」論争は、左翼の仕掛けに安倍政権が騙されようとしているかに思えてなりません。
                                   (DD生、横浜)


                     私のコメント
 「北海道旧土人保護法」の「土人」という言葉から、蔑称のようなニュアンスを受けるが、
土人は元もと「土地住民」の意味だった。
 私の年の離れた友人の父は、旧制・第三高等学校(現・京大教養部)の教授だったが、滋賀県近江八幡を昭和の戦前に旅行した際に
土人はヨシを刈ってヨシズを作る」
と書いている。この「土人」とは、近江八幡在住の土地の住民のことである。
そこに現地住民を軽んずる姿勢があるとすれば、
「戦前は高等教育を受けた人間は圧倒的に少なく、それだけでエリートだった」
ということだろう。また、
>戦後の農地改革によってアイヌの土地のほとんどが没収されたため
という文章は、
北海道旧土人保護法によりアイヌは地主になり、日本人の小作人に土地を貸して小作料を取っていた
ということである。

 ここのところ、国民国家の日本を解体してグローバリズムに適応しようとする法案が、国会で立て続けに通っている。「アイヌ新法」もこの流れと見られる。
横浜のDD生氏は、
先住民族」論争は、左翼の仕掛けに安倍政権が騙されようとしているかに思えてなりません。
と述べているが、

私には現政権は危機感を欠いているとしか思えない。